2003/09/29
[Review] 戦慄のレイニーブルー
晴れた日に雨傘をさして歩いている気取ったおばちゃんを発見!(挨拶)
遅々として進まない「マリア様がみてる」完読計画ですが、今週末にようやく「レイニーブルー」「パラソルをさして」まで読了。残り3巻までこぎ着けました。
(注意:以下は一応ネタバレ情報を含みます)
それでこの「レイニーブルー」という話は、物語の基本構造が
「だってあたし、あなたがこの前女の人と歩いていたのを見たわ!
」
「ああ、あれは僕の姉さんだよ
」
「えーっ! それじゃあ、あたしの早とちり、勘違いだったのー!?
」
っていう、一昔前だったらコナミの法務部が登録商標を申請していたに違いない(元ネタ:日刊オードリーさんの 00/8/16)くらい、少女マンガによくある黄金パターンそのまんまのロジックを踏襲しています。なので、そういうダメな少女マンガ的な展開が大好きな私は、「レイニーブルー」を読みながらンもう大興奮。
話が進むにつれてどんどん誤解の渦に飲まれ、一方的にずんずん落ち込んで行く主人公の裕巳ちゃんの姿を読みながら、一人でニヤニヤしてましたよ(最低)。
しかし、さすがは「マリみて」。そう簡単にこちらの予想通りには話が進みません。
続編の「パラソルをさして」では、こちらの想像を遙かに越えた、血沸き肉踊る壮大なスケールの物語が待ち受けていたのです。
「パラソルをさして」では、裕巳ちゃんの相方である祥子お姉さまの内面が語られます。
実は、祥子さまは重度の妹依存症にかかっており、裕巳ちゃんがいないとロクに飯も喉を通らないくらいに落ち込んでしまい、部屋に引きこもったまま何もできなくなってしまうという、要介護認定クラスのダメ人間だったのです。
最愛の妹に嫌われたと思いこみ、裕巳以上の誤解の泥沼に落ちてしまった祥子さま。彼女は「マリみて」世界における中心人物であり、彼女の気高き魂こそがこの世界の象徴でもあるのですが、その彼女が斯様な状態になって裕巳との姉妹関係が終わってしまっては、「姉妹の絆」を最も大切なものとして描いているこの作品世界が終演を迎えてしまうことは必至の有様。しかし、彼女を救おうとする人々の声は、もはや心を塞いだ彼女には届かないのです。
ああ、「マリみて」世界はこのまま潰えてしまうのか。この世界は、少女マンガの黄金パターンである「それってあたしの勘違いー!?」の法則の壁を破れぬまま屈してしまうのか?
否! 断じて否!
祥子さまを救える戦士は、この世界にただ一人だけ存在する!
そんな感じで緊急召集された裕巳ちゃんは、世界の危機を救うため、急遽祥子さまの元へ出撃します。
異常事態を察知して裕巳に警告をいち早く知らせようと馳せる旧友、戦いに赴く裕巳の身を案じて集まる僚友達、「必ず生きて帰って話を聞かせろよ!」と励ます戦友、そして「あの娘を救えるのはあなただけ!」と告げる、裕巳の"長姉"の蓉子。裕巳を信頼し、全てを託す仲間達の姿がそこにあります。
彼らの期待を一心に受けた裕巳ちゃんは、世界の命運を賭け、この世界の秩序の中心である祥子さまの心の中へと一人で戦いに赴くのです。果たして二人の絆は、そして世界の運命や如何に!
最初は「それってあたしの勘違いー!?
」な少女マンガパターンで始まった話が、まさか最後の最後で「地球の危機を救えるのは君だけだ!
」みたいな血沸き肉踊る展開に化けるとは、さすがに予想できませんでした。
「マリみて」あなどりがたし!(←自覚はしているので、ツッコミは無用です)
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