その後の定期テストでは、詩織にあと一歩およばないものの、如月(彼女も頭は非常 に良い)その他を抜き去り、トップに肉薄する。
テストが終われば楽しい夏休みに入るが、しかしジャン君は「モテモテ地獄」真っ只 中のため、ひたすらデートを繰り返す。阪神タイガースの「死のロード」と肩を並べる くらいの激しい日程をこなすジャン君(でも平日は寝てることが多い)。
しかし、忘れてはいけない。このゲームの真の目的は、あくまで詩織を主人公に惚れ させることなのだ。ここにはバカな事しか書いていないが、実は細めに詩織とのデート はちゃんとしていたのだ。
この証拠に、この段階で、既にジャン君を前にした詩織の表情は、頬を紅潮させて瞳 がどことなく潤んでいる「ホレホレ状態」に移行していた。ここまでくればもう一押し だぜ、くくくくく(邪悪な笑い再び)。
まず、神社で行われる夏祭りに、詩織を誘ってデート。浴衣を褒めたり一緒に花火を 見たりして、とりあえずいい感じに突入。
秋に行われる文化祭では、詩織の方から「一緒に行こうよ」と誘われ、一緒に吹奏楽 部へゴウゴウ。
詩織は音楽観賞が趣味で、なんか高校の吹奏楽部レベルの演奏でも感動しまくって いる様子だ。そんな彼女に「良かったよねー」「良かった良かった」と、適当に会話を 合わせて、さらにいい感じになる。さらに2学期の期末試験で、ついに総合成績で詩織を抜き去り、学年トップの座に着 くことに成功する。これで彼女の「すべてに渡って尊敬できる人」という無茶な理想に、 また一歩近づいた事になる訳だ。男の執念って凄いよなジャン君。
そして、クリスマスイヴ。今回は去年の反省を元にキチンと容姿を上げたため、問題無く クリスマスパーティー入場への侵入に成功し、無事去年の復讐を遂げる。もう野暮ったジャン君と は呼ばせないぜ。
パーティー会場では何事も起こらなかったが、帰り際に詩織に「一緒に帰らない?」 と誘われる。軽く了承しながらも、ドラマの予感を感じて胸をときめかすジャン君(すなわち私)。帰り際は、なんか二人の昔話で盛り上がる。この二人は家が隣同士で幼なじみだとい う設定なので、こういう話題に事欠かないのだ。
……そして、やがて空から雪が舞い降りてくる。恋愛ドラマの定番、「ホワイトクリ スマス」だ。タイミングよく降った雪を見て、無邪気に喜ぶ詩織とジャン君。よっ、ア ツアツだねお二人さん。なにはともあれ、こんなアツアツのお二人さんを見ていると、ここまで仲を進展させ るための苦労の日々を思い出して、なんか思わず熱いものがクゥーッと込み上げるので あった(まだ苦労は続くんだけど、ここでは無視)。
まるで、二人を幼い頃から知っている爺さんが「おうおう、こんなに仲良くなって」 と目を細めてホッホッホッと笑う時のような、素直に幸せを祝福したい心境に包まれる 。
この「ホワイトクリスマスイベント」が起こった時、私は結構良い線行けるのではな いか、と勝利を確信し始めた。
だが、勝負はゲタを履いて伝説の樹の下に行くまで判らないのが、このゲームなのだ 。
続く。
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