サターン版レイアースを考察する



※これは、私が友人(笠原弘子ファン+眼鏡っ娘好きが高じて風ちゃんファンになった男)に宛てて書いたメールの中身を抜粋したものです。



 で、サターン版のレイアースを買った。

 このゲームの特徴は、まず「喋る」、ついでに「アニメ映像が流れる」点だろうか。恐ろしいことに、主要キャラの台詞のほとんどを、アニメの声優が実際に喋っている。どーやってあれだけの台詞をCD−ROMに詰め込んだのかは謎だが、よくぞここまでやったものだ。
 ついでに、イベントの要所では、アニメ取り込み+新規書き下しのアニメーションが流れる。圧縮しているのが判ってしまう程度の解像度ではあるが、再生自体は至ってスムーズで、これもよくやったものだ。
 特に、オープニングは、第1部のものがまるまる全部入っている。やはり田村直美はええのぅ。

 また、シナリオ自体も悪くはないと思う。原作よりもさらに悲惨さがアップしており、泣くこと必死だ。もー、アルシオーネもアスコットもカルディナもみんな死ぬ死ぬ。これじゃー、「レイアース2・タトラ姉さまの野望」が出せなくなるのではないか? と、余計な心配までしてしまう程だ。


 しかし、いいのはここまでだ。

 ゲームは、基本的にはトップビューのアクションゲームなのだが、これの出来がホントに平凡。スーファミのゲームをやってるかと思ってしまったくらいだ。あの程度なら、わざわざサターンでやるほどの水準ではない(絵はキレイだけど、時々処理落ちするところあり)。
 特にボスキャラ戦闘がお粗末で、敵のアルゴリズムに何の工夫もないし、攻撃や移動のバリエーションも凄く貧弱だ。特にアルシオーネとザガートがトホホ。アルシオーネなんかは健気に何度も登場して来るのだが、出るたびに弱くなっているような(笑)。

 ついでに、一応君が気になるだろう風ちゃんだが、これについては安心しろ。このゲームは風だけでザガートまでは倒せる、と言えるほど、彼女は強烈だ。
 風の武器は「弓」だが、これがもう他の二人に比べてアットーテキに強い。射程が長いのも勿論だが、気合を溜めて発射すると弓矢が誘導弾になり(最大7発同時発射)、ほとんどの敵は接近する前に葬り去れる。しかもショットパワーもそこそこで、ボス戦でも役に立つ。また、「癒しの風」も最重要だ。
 それに比べ、光は広範囲の敵をカバーできる利点があるが、リーチが短いので、それほど使う機会はない。海に至っては、レベルが最強になるゲーム終盤以外は、正直言って戦力外だ。
 この、「風だけで最後まで行けてしまう」という点も、ゲームとして欠陥だと私は思うのだが……。

 結局、個人的なこのゲームの評価は、「並」だ。これが、ドラマ性主眼のドラクエ型RPGやアドベンチャーゲームだったら凄い面白いものになれる可能性があっただけに、とても残念だ。


 思うに、レイアースという物語は、確かにRPGのメタファーを取り込んではいるものの、レイアース第1部の真の狙いは「紋切り型の勧善懲悪RPG」を否定する点にあったはずだ。あの救われないエンディングが、それを象徴しているではないか。

 レイアースは、普通のRPGに仕上げてしまってはいけない話なのではなかろうか……と、エンディング(一応原作を踏襲している)を見ながら思ったのであった。ぺけぽん。


インデックスに戻る
(c) Copyright T.Fukazawa
fukazawa@st.rim.or.jp